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FUMANET

ふまねっと運動

ふまねっと運動の認知機能改善理論

認知機能の改善効果

私たちの研究では、認知機能をタッチエムという器械を使用して測定しました。

人の認知機能の測定や評価は難しく、今日でも共通の標準的方法が確立されていないのが現状です。現在よく利用されている認知機能の測定方法は「長谷川式認知症スケール」「MMSE」があります。私たちが使用したタッチエムの得点は、この「長谷川式認知症スケール」や「MMSE」と高い相関があります(村上他)。

ふまねっと運動の「参加群」は、タッチエムの平均得点が8週間で80.0点から85.4点へ、6.4%の改善が認められました。これは、統計的に有意な改善と認められました。一方の「不参加群」の平均得点は、78.2点から79.3点になりましたが、統計的に有意な改善は認められませんでした。
このような研究の結果から判断して、私たちはふまねっと運動に一定期間継続して参加することによって、認知機能を改善させる効果があると考えています。

 
認知機能と二重課題運動

では、なぜふまねっと運動は認知機能を改善することができるのでしょうか。
ふまねっと運動の認知機能改善効果を説明する理論は2つあり、1つは、「二重課題運動」の理論です。そして、もう1つは、「からだの動きと認知機能は密接に関係する」という理論です。
はじめに、「二重課題運動」の理論を説明します。近年、同時に二つ以上の「課題」を行う運動を「二重課題運動(デュアルタスク)」と呼ぶようになりました。この二重課題運動は、認知機能を改善させる効果があると注目されています。
二重課題運動とはどのような運動かというと、例えば、「歩き」ながら「計算問題」をするなどが典型例です。これは、「①歩く」という運動課題と、「②計算する」という思考課題の二つを同時に行っている例です。計算問題の代わりに「しりとり」をする二重課題運動もあります。
ふまねっと運動もこの二重課題運動の一例です。ふまねっと運動は、同時に7つの課題を行ってると考えています。そのため、「二重」ではなく「多重課題運動」ともいえます。

ふまねっと運動を構成する7つの課題

  1. 「歩行」を1つの「課題」と数える。
  2. 「あみをよく見て踏まないように歩く」。注意が必要となる。
  3. 「ステップの規則に従う」。ステップの記憶と学習が必要となる。
  4. 「ゆっくり歩く」。重心移動の微修正(バランス)が必要となる。
  5. 「テンポにあわせる」。音にあわせて全身の協調動作が必要となる。
  6. 「手をたたく」。手と足の両方に注意の分配が要求される。
  7. 「うたを歌う」。歌にあわせてステップや手拍子が要求される。

ふまねっと運動は、この表の1からスタートして、手拍子を追加したり、歌を追加したりして、最後には課題を7つまで追加していきます。
課題が1つから3つくらいまでは簡単ですが、手拍子を追加するあたりから難易度が高くなります。同時に行わなければならない課題が多くなると、どれかができなくなったり、おろそかになります。どれか1つの課題に気をとられると、他の課題は、うっかり失敗してしまうことになります。

二重課題運動は、通常の運動よりも脳の神経活動を活発にすると考えられています。これは、単に「歩く」という1つの課題だけを行うよりも、歩きながら「計算」をするほうが、同時に複数の課題を行うので脳の神経細胞の生理的反応を「量的」に増加させるのではないかと考えられています。これが認知機能に積極的な影響を与えると考えられています。

そのようにみれば、ふまねっと運動は、同時に7つの課題を行うので、脳の神経活動や興奮がより多く必要になると考えられます。
そのため、7つの課題を行うふまねっと運動で、脳の神経活動の生理的興奮が平常時よりも「量的」に増加すると想像することは可能です。それは、認知機能の改善のために有利な現象であると考えられます。